東北地方のおすすめフィールド

東北地方のおすすめフィールド

早池峰山(★~★★)
 北上山地の最高峰で,全山が超塩基性岩地でできた花の名山です.固有種・準固有種が多く,岩手県内や本州ではここだけといった植物も多く見られるのが特徴です.片道2~3時間ほどで手軽に登れます.
 登山口までの道は,シーズン中の平日は解放されていますが土日は山麓の駐車場にとめてバスで登山道へ向かう必要があります.なお平日はバスは運転されていません.平日にとめられる駐車場は登山口まで2 kmですが,土日にとめられる駐車場は登山口まで10 km近くあるため,素直にバスに乗ることをおすすめします.
 早池峰山のベストシーズンは6月中旬頃で,早池峰山固有種・準固有種のうちナンブイヌナズナトチナイソウミヤマヤマブキショウマはこの時期に開花します.ハヤチネウスユキソウナンブトラノオも咲き始めており,ヒメコザクラもぎりぎり残っています.ただヒメコザクラはかなり終盤に近いので,綺麗な花を見たいならもう少し早い時期のほうがよいです.5月下旬頃なら,ヒメコザクラの他にウラシマツツジクロミノウグイスカグラにも出会えます.この時期には,他にミヤマオダマキヒロハヘビノボラズチシマアマナミヤマシオガマイワウメなども見られました.7月中旬にはもう一つの固有種ナンブトウウチソウが咲き始めます.この時期にはチシマフウロサマニヨモギウコンウツギホタルサイコや蛇紋岩地に特有のカトウハコベが見られました.
 動物では,オコジョ・ホシガラスなどがよく目撃されています.

区界・松草
 早池峰山の北側に位置する盛岡市・宮古市の境界にあたる高原地帯で,岩手県内では薮川に次ぐ2番目に寒い場所の一つとされています.標高は750 mほどあります.ここから少し標高を上げるとダケカンバ帯に入りますが,まだ多様な樹種が見られます.川沿いにはハルニレやオヒョウ,ヤチダモ,エゾイタヤ,シナノキなどが多く,5月中旬には林床にコキンバイオオバナノエンレイソウが多数咲いています.珍しい樹木のハナヒョウタンボクやクロビイタヤがやや普通に見られる点も面白い場所です.草原には北上山地の固有種であるクザカイタンポポオキナグサも残っています.松草から北へ向かった櫃取湿原や釜津田・早坂高原・薮川・岩洞湖周辺も面白いので,合わせて探索することをおすすめします.

秋田駒ヶ岳(★)
 北東北で高山植物を楽しめる場所として,東の早池峰,西の秋田駒が二大巨頭ではないかと思います.中部・関東地方を中心に活動している人がまず初めに行くべき東北の山として,秋田駒をおすすめします.
 東北地方固有の高山植物としてメジャーなものでヒナザクラミヤマウスユキソウ,タカネスミレ,シロバナトウウチソウが挙げられますが,これら4種を難なく見られるのが秋田駒です.北海道・東北にしか分布しないものではエゾツツジイワブクロカラフトイチヤクソウなんかも見れてしまいます.東北にいると,どの種も他の山で見れるのですが固有種が揃っている山は他にないかと思います.

種差海岸
 三陸海岸北端に広がる美しい海岸です.岩礁・草原・砂浜・小湿地・松林と多様な環境があるため見られる生物種もかなり多様です.草原環境が残るため,生息地の少なくなった希少な植物も多くみられます.
 6月頃が一番よい時期で,海岸草原にノハナショウブ・ニッコウキスゲ・スカシユリアサツキなどの色とりどりの大きな花が咲き誇る.北海道の原生花園を思わせる景観は植物好きでなくとも必見.ハマウツボフナバラソウスナビキソウなどの希少種も多いことからマニアックな人も十分満足でき,またよく整備されているため体力がない方でも楽しめる素晴らしい場所です.もう20回は種差を訪れていますが,未だに行く度に発見がある素敵なスポットで,八戸付近を経由するときにはついつい立ち寄ってしまいます.

仙台青葉山
 青葉山周辺を歩くと,北東北に比べて生物種の多様さに驚きます.この辺りを北限とする南方種が多く,森を歩くと照葉樹やモミの林が見られます.南方種に交じって北方系のクルマユリやニッコウキスゲなどの植物も普通に見られ,さらに奥羽山地の一部でもあるのでナガハシスミレやブナなど多雪地系の種も見られます.そして,人の手が入った森林公園も多く夏~秋にかけてはキノコが多くみられます.モミがたくさん生えているため,特有のキノコも多くみられます.ヒメシャガやミヤマタムラソウ,オヤリハグマなどのやや珍しい種もよく見られます.

上北湿地群
 八戸を北上し,三沢市から六ヶ所村にかけては大きな湖や沼がある他,湿地環境が多数点在します.塩性湿地に分布するヒメキンポウゲは,数が多い生育地はこのエリアくらいで,ほぼこの地域特産の植物です.同じような環境で,オオシバナやエゾツルキンバイも多数見られます.小河原湖や市柳沼などの大きな沼の畔には良好な湿地環境が成立しておりハンノキ林を主体に,ズミ,ケヤマウコギ,サワオグルマカンボクジョウロウスゲ,ヒメナミキ,ナガボノシロワレモコウ,ヤナギトラノオ,アカネムグラ,シロネ,クロバナロウゲなどの湿地性植物がありふれています.場所によってはミチノクサイシンやヤチヤナギなども見られます.昆虫類も豊富で,美しいオオルリハムシや道東と隔離分布するマンシュウイトトンボなどが見られます.仏沼はマークオサムシやオオセッカの生息地として有名です.本州では珍しくなった生き物に多数会える環境ですが,固有種が少ないことだけが欠点です.やませの影響で,夏も涼しく晴れ間が少なく,人気(ひとけ)も乏しい環境です.

屏風山湿原
 つがる市の西側海岸沿いの砂丘上に多数の池や湿地が点在します.上北とは異なり,夏は快晴日が多く,真夏に行くと35度超えの猛暑も珍しくはない.周辺はスイカやメロンなどの栽培が行われており,池にもバサーの姿がよく目立ち,人気が多い.池にはヒツジグサコウホネミズオオバコ,ミズアオイ,マルバオモダカ,オモダカなどの抽水植物が多数生育している.湿原の周囲にはカシワが多く,カシワ林の昆虫を採集することもできる.

焼石岳(★★)
 主な活動エリアが中部山地なら特別行くべき山ではないかもしれないが,東北地方ではここだけといった種が多い山.ハクサンイチゲが普通にみられるが,実は岩手県ではこの山にしか見られない.中沼登山口から登ると,山腹で何度か湿原を通る.この湿原にはオニシオガマチョウジギクタヌキランなどが見られる.

★:午前・午後の半日でも登ることができる.3~4時間ぐらい.
★★:朝から登って午後に降りてくるぐらい.6~8時間はかかる.