一年草・越年草

 種子から発芽、開花、結実、枯死まで1年以内に済ませる生活型の植物を一年生植物という。多くは春に発芽して冬には枯死するが、中には秋に発芽して、翌年の春、夏に枯死するものがあり、これを越年草という。日本の気候では越夏・越冬できず実質的に一年草として生活史が完結している種もある。

 一年以内に十分な成長をする必要があることからか、明るい裸地的環境に生育するものが多い。また、いわゆる雑草と呼ばれるものも多い。塩性湿地は一年草が多く、フクドやハマサジ、ハママツナなどが一年草(越年草)。不安定な環境への適応だろうか。タカネシオガマやチシマセンブリは高山植物では珍しい一年草・越年草である。
 ツリフネソウ属のように、森林の植物でも一年草であるものがある。これは個人的に意外だった。小型の植物が多いかと思えば、タカアザミのように数メートルになるものもいるので奥が深い。