トガクシソウ

トガクシソウ
Ranzania japonica

多雪地の深山にひっそりと咲く美しい植物です.芽生えるとともに長い茎をのばし,可憐な桃色の花を下向きに咲かせます.

中部地方から東北地方にかけての日本海側の深山に分布する植物です.ブナ帯上部の雪が6~7月頃まで残るような沢に生育しています.さらにブナなどの樹林に囲まれていて雪解けよりも早く緑に覆われて暗くなるような沢で,その中でも雪が最後まで残るような斜面に生育しています.そのような斜面では雪解けとともに,雪がずり落ちて急斜面になる傾向があります.

このように生育環境が非常に限られる植物で,中々お目にかかれる植物ではありません.しばしば混成するシラネアオイは,亜高山帯の湿性草原や雪渓脇などもっと幅広い環境で見られるのに不思議なものです.

シラネアオイやキヌガサソウと同じく,日本海側の深山に独特な植物の一つです.日本固有属・固有種で似た植物が世界中のどこにも分布していません.似ているものを挙げるならば,ちょっと変わったイカリソウというイメージでしょうか.

岩手県のブナ帯上部の沢沿いの登山道で出会うことができました.本種が生えている場所より少し上ではまだ雪が多く残っていました.今回は本種を見ることだけが目的だったので,1時間ほどトガクシショウマと戯れた後,引き返すことにしました.


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