タニウツギ

タニウツギ
Weigela hortensis

●撮影:2019年6月,秋田県

初夏の日本海側を桃色に彩る低木.田植えの時期に咲くので田植え花と親しまれている一方,忌み木・忌み花として嫌っている地方もあるという.もはやそのような風習がどの年代まで残っているかは不明ですが.

基本的に日本海側に多い植物ではあるが,例外地域もある.例えば岩手県の沿岸部や北上高地ではかなり多い樹木で,海岸にも生えている.しかし八戸あたりまで行くとほとんど見られなくなり,代わりに植栽由来とされるハコネウツギが多く見られる.

もう一つが関西の六甲周辺地域だ.日本海側に多いこの樹木が,六甲山周辺では低地に普通に咲いている.これには,氷上回廊という低地帯が関係しているという.通常,日本列島を挟む南北の海を行き来しようとすると,標高の大きな山岳が立ちはだかるが,氷上回廊を経由すると最大でも標高100m前後で瀬戸内海まで行きつくという.この温暖な低地を通って,タニウツギは瀬戸内海側にも分布を広げたという.

タニウツギの場合は,低地から亜高山まで出現する垂直分布の幅広い植物なのでこの説明に少し疑問は残るが,実際に関西では,日本海側を由来とする生物が比較的多く見られることが知られている.

枝に鈴なりに花をつけることもある.


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