トガクシソウ
Ranzania japonica

●分布:新潟県以南の日本海側
●花期:4~5月

初夏,まだ雪が解け切らない多雪地の深山にひっそりと咲く美しい植物.芽生えるとともに長い茎をのばし,2本の茎葉の間に可憐な桃色の花を下向きに咲かせる.
中部地方から東北地方にかけての日本海側の深山に分布する.ブナ帯上部の雪が6~7月頃まで残るような沢に生育している.さらにブナなどの樹林に囲まれていて雪解けよりも早く緑に覆われるような沢で,その中でも雪が最後まで残るような斜面に生育しています.そのような斜面では雪解けとともに,雪がずり落ちて急斜面になる傾向がある.
このように生育環境が非常に限られる植物なので,中々お目にかかれる植物ではありません.しばしば混成するシラネアオイは,亜高山帯の湿性草原や雪渓脇などもっと幅広い環境で見られるのに不思議なものだ.
シラネアオイやキヌガサソウと同じく,日本海側の深山に独特な植物の一つ.日本固有属・固有種で似た植物が世界中のどこにも分布していない.似ているものを挙げるならば,ちょっと変わったイカリソウというイメージでしょうか.
写真のものは,岩手県のブナ帯上部の沢沿いの登山道で憧れの本種で出会うことができた.本種が生えている場所より少し上ではまだ雪が多く残っていた.今回は本種を見ることだけが目的だったので,1時間ほど戯れた後,この場所で引き返すことにした.

▲写真1:2018年6月、岩手県雫石町

▲写真2:2018年6月、岩手県雫石町

▲写真3:2020年8月29日、岩手県雫石町


キンポウゲ目 (Ranunculales)
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