ナンブソウ
Achlys japonica

●分布:北海道、東北地方
●花期:5~6月

東北地方と北海道に分布する植物です.一見クズの葉に似ていて大きさもやや小さいくらいです.しかし蔓は伸びず,この葉が1本ひょろっと立っています.花はブラシ状の花が1本出ます.写真のものは少し傷みはじめています.
本州では、東北地方の風穴に特有の植物です.風穴周辺では夏でも冷たい空気が出ているため,高山植物など周辺とは異なる植物がみられます.ナンブソウもその一つで,特に風穴環境を好む植物として知られています.ちなみにナンブソウのナンブ(南部)とは,岩手県北部をさす言葉です.
最初に見ることができたのは秋田県大仙市の長走風穴。この日は35度を超えるとてつもない猛暑日。雪の残るブナ帯上部を降りると耐え難い暑さに見舞われた。そういえばこの辺りには風穴があり、未見のナンブソウも見れるなと思い立ち寄った。入口でババヘラアイスを購入し、涼みながら風穴周囲を散策するとわずかながら本種が見られ、かろうじて数株が花をつけていた。
その後、岩手県北部の風穴でも見ることができた(写真2)。ここでは、風穴周囲から、冷風が流れる谷一面に本種が群生していた。他にルイヨウショウマやエゾヒョウタンボクも見られた。しかし、風穴への道は近いうちに全伐があったようで藪化して背丈以上のノイチゴ類が繁茂してとても近づけず、しょうがなく脇の急斜面のブナ林をよじ登っていった。下草が少ない分、こちらの方がまだましだ。ポイントに近づくと冷たい風が通り、すぐに風穴があることが分かった。ここでも開花株は少なかった。

▲写真1:2019年5月、秋田県長走風穴

▲写真2:2021年6月、岩手県八幡平


キンポウゲ目 (Ranunculales)
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