キクザキイチゲ
Anemone pseudoaltaica

●分布:近畿地方以北~北海道
●花期:3~5月

カタクリやヤマエンゴサク、フクジュソウとともに、早春の落葉樹林に咲くキンポウゲ科の多年草。雪解け直後の落葉樹林に出向き、群生地に出会うと幸せな気分になる。日本海側の低地や里の明るく少し湿った場所によく見られる。深山のブナ林では雪解けよりも葉が繁る方が早くなるためか、春植物はあまり見られない。
花色には、白から淡い紫、濃い紫まで変異がある。同じ場所でも、複数の色が共存する。近縁のアズマイチゲが白色のみであるのに対照的である。日本海側では濃い紫色の個体が比較的多いといわれる。関東地方や三陸などで見られるキクザキイチゲは白が多く有色であっても淡い紫色までなので、紫色の美しいキクザキイチゲを見たいならば、東北や北陸へ赴くことをおすすめしたい。
春の陽気を浴びながらキクザキイチゲの群落を撮影するときは、一年で最もウキウキする瞬間の一つ。散策で何も珍しい生き物が見れなくても、この風景を見るだけで報われた気持ちになる。写真2は、雪解け間もない秋田県の温泉地近くで見つけたキクザキイチゲの咲く風景。

▲写真1:2013年4月、長野県白馬村

▲写真2:2018年4月、秋田県仙北市


キンポウゲ目 (Ranunculales)
植物 (Plants)
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