ヒツジグサ
Nymphaea tetragona

●分布:北海道~九州の貧栄養な池沼*1
●花期:6~9月*1

全国の貧栄養な池や沼に生える抽水植物。深山の湿原中の池などでよく見かける植物だが、関東以南の低地では中々お目にかかれない。ため池を多く残した山間部の里地で、沢や湧水からの水が直接流れ込むような貧栄養なため池では、水面を埋め尽くすように繁茂していることがある。
花の大きさは直径5 cmほどで手にすっぽりと収まるほどのサイズで,園芸スイレンを見慣れているとかなり小さく感じる.午後2時の未時に咲くので,ヒツジグサという.オニバスとは逆パターンで,午後に花が見られる植物だ.実際には午前中でも咲いていることは多いが,天気が悪いと開いていないこともある.
写真のものは奥羽山地の山中にある沼で見かけた.深いブナ林に囲まれたこの沼の周辺には,ミズゴケの湿地が発達し,トキソウやサワラン,ツルコケモモなどが群生していた.水面には疎らにヒツジグサがある以外に浮島もできていた.一つ残念であったのは,少量ではあったが赤いフナが放されていたこと.フナやコイは水生植物の大敵であり,小さな池では水生植物に壊滅的な被害を与えてしまうことはもっと認知されてほしい。
[参考] 1. 山と渓谷社 (2013) 山に咲く花

▲写真1:2019年7月、岩手県西和賀町


スイレン目 (Nymphaeales)
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