クモマスミレ
Viola crassa subsp. alpicola

●分布:関東・中部地方の高山帯
●花期:6月

高山帯の中でも他の植物が乏しい稜線上のガレ場に生えるスミレ.同様の環境にはウルップソウやコマクサ,ミヤマウイキョウなど限られた植物だけが根付くことができる.
強い直射日光に耐えるためか海岸植物のように光沢のある厚い葉をもっている.雪渓からの照り返しも考えると,本種が受ける紫外線ストレスは相当なものだろう.葉が丸くなるのも強すぎる光を受けないようにするためかもしれない.
高山帯には同じく黄色いスミレとしてキバナノコマノツメとオオバキスミレが産するが,両種とも本種のような厳しい環境には現れない.キバナノコマノツメは草原や亜高山帯の林縁,オオバキスミレはブナ帯の沢沿いに出現する.これら2種とは,葉には光沢があり立体的に丸くなるという特徴から簡単に見分けられる.
写真のものは,白馬岳から雪倉岳に続く稜線上のガレ場を歩いているときに出会った.コマクサやウルップソウよりは少し小さめの岩が多い場所で見られた.こちらの方が岩は風や人によって動きやすく,より厳しい環境といえそうだ.

▲写真1:2015年7月、長野県白馬岳


キントラノオ目 (Malpighiales)
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