●分布:北海道~本州中部地方・四国・屋久島の亜高山帯
●花期:6~8月
亜高山帯で見られる黄色いスミレ。日本のスミレでは唯一名前がスミレで終わらない種である。花は他のスミレよりも小ぶり。北アルプスや奥羽山地では黄色いスミレは他にタカネスミレ、オオバキスミレと合計3種見られる。タカネスミレは本種よりも葉に光沢があり厚く、立体的に丸くなる。オオバキスミレは葉が心形であまり近縁ではない。タカネスミレはコマクサやミヤマウイキョウが生えるような植生が貧弱な砂礫地帯、本種は草地や岩場などのやや日陰、オオバキスミレでは亜高山帯沢沿いの灌木林やブナ林の林床に多く見られる。特にタカネスミレは生育環境が異なるため、これら3種が並んで見られることはまずない。
本種は、ユーラシア大陸の北極圏に幅広く分布する他台湾にも分布する。国内では四国や屋久島の高所にも分布する。高山植物といわれる植物の中では最も南方まで分布するものかもしれない。
写真のものは、初夏の早池峰山の中腹で撮影した。標高1300mほどから始まるハイマツ帯の草影や岩の間などに点々と見られた。この山でみられる黄色いスミレは本種のみ。
▲写真1:2019年6月、岩手県早池峰山