キヌガサソウ
Paris japonica

●分布:本州日本海側の亜高山帯
●花期:6~8月

本州の日本海側,多雪地の亜高山帯~高山帯の湿った草地に生える植物.直射日光を受ける場所よりは,雪渓脇の灌木林の下などによく生えている.
太い茎と放射状に葉を広げる独特な姿、そして蓮のような美しい純白の花をつける。シラネアオイ、トガクシショウマと共に日本海側の多雪地域で進化し、世界中に似た種が全くない日本固有種の植物である。ツクバネソウから進化して葉の枚数が増えたクルマバツクバネソウとなって、花が大きくなり、花弁が白くなったのがキヌガサソウなのだろうか。ツクバネソウの最終進化形といった雰囲気。
北アルプスの特に白馬周辺では普通にみられる.亜高山の雪渓脇や灌木林下の湿った環境に多く見られる.特に白馬大雪渓周囲の群落は規模が大きく有名らしい.花の時期は比較的早く6~7月頃とやや早めで,お盆頃には緑色にくすんだものしか見れない.雪解けとともに葉と花を開かせる.
中部地方では西は白山,南は南アルプスの一部まで分布が知られている.北限は青森県だが東北地方の山ではやや珍しい植物で,どこの山でもある訳ではない.岩手県内では、北上高地にはなく奥羽山地の八幡平と焼石岳の周辺に知られる程度。東北地方における大群落は秋田県の神室山が有名で、白馬大雪渓を凌ぐ日本一の規模という。
写真1、2のものは,7月下旬の梅雨明けに,白馬尻から白馬岳・朝日岳経由で蓮華温泉まで縦走したときに出会った.この写真は確か朝日岳から朝日小屋へ向かう途中だったろうか.雪解け直後の登山道では,サンカヨウ・シラネアオイ・キヌガサソウとった日本海側要素の素敵な花が次々と現れた.この山行では,初日の白馬尻からゴールの蓮華温泉まで随所で本種に出会うことができ,幾度も目を楽しませてくれた.今回通った白馬岳~朝日岳の区間では個体数が多く,時期を外さなければ見ることは難しくないはずだ.

▲写真1:2015年7月、北アルプス朝日岳

▲写真2:2015年7月、北アルプス朝日岳

▲写真3:2021年6月19日、岩手県八幡平

▲写真4:2021年6月19日、岩手県八幡平


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