マエモンオオナミシャク
Triphosa sericata sericata

●分布:北海道~九州
●成虫の出現時期:
●食餌植物:クマヤナギ,クロウメモドキ

成虫は初夏に羽化した後,涼しく暗い洞窟や風穴に入り越夏する.秋には外に出て活動し,冬期は再び洞窟内で越冬する.洞窟とクロウメモドキ科に依存する蛾であるが、どちらも石灰岩地域に多くみられるためそのような場所に生息地が多い。
盛夏のある日,気温は35度超えで日射しも強く,屋外ではまともな写真も撮れないだろうと思い,気になっていた洞窟で越夏する蛾を探索することにした.向かった場所は岩手県内ではかなり有名な観光洞,洞内のルートはどこも照明があって蛾が潜んでいそうな様子はなかった.この洞窟はハズレかな,と思って出口の手前に少し入り込んだ暗がりを見つけ奥へ行ってみると(行き止まりとは書かかれていたが,立入禁止とはされていなかった),本種が20頭くらい集まってじっとしているのを発見することができた(写真1).
実は一度,7月に羽化した成虫を灯下で発見したことがあったがカメラを取りに戻っている間にいなくなってしまい,是非とも再び出会いたい種であった.同じ月,また暑くてどうにもならない日に秋田県中部の風穴へ行った際にも壁に張り付いている本種を発見することができた.特殊な生態ゆえに記録が少ない種であるが,各地の洞窟や風穴,廃トンネルなどを探すとかなりの産地が見つかるものと思われる.
写真2は石灰岩地帯のトンネルで見かけたもの。羽化したてで夏眠する場所を探していたのだろう。トンネルは暑いのでじきにもっと奥深くへ隠れてしまうだろう。

▲写真1:2021年8月,岩手県一関市

▲写真2:2023年6月10日、広島県帝釈峡


シャクガ科ナミシャク亜科 (Larentiinae)
昆虫類 (Insects)
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