鰐塚山地の低山地は九州でも最も植物の多様性が高い地域とされています。森にはイチイガシ、スダジイ、タブノキ、カンザブロウノキ、ヤマビワ、コバンノキ、ハドノキ、イワガネ、ルリミノキ等々とても樹木の多様性の高い地域です。渓流沿いにはハルニレやタニワタリノキ、バイカアマチャなどが見られます。林床にはキバナノホトトギスやツユクサシュスラン、キンチャクアオイ、マルバテイショウソウ、クサヤツデなど、岩壁にはヒュウガギボウシやイワタバコが多産します。着生植物も豊富でミヤマムギラン、オオバヨウラクラン、キバナノセッコク、ヨウラクヒバなどが見られます。
写真の場所は日南市の猪八重渓谷です。渓流沿いの遊歩道に豊かな照葉樹林が続いています。
日南市で生産されるスギ材は飫肥杉と呼ばれる名品種で、植林が盛んな地域になります。そのため渓谷沿いを除くと人工林が多く、自然林率はやや低くなります。この地域の加江田渓谷、猪八重渓谷の遊歩道はスギ材を運び出すトロッコルート跡を歩けるように整備したものです。この二大渓谷と双石山にまとまった自然林が残っています。
▲写真1:2023年7月16日、宮崎県日南市猪八重渓谷