●分布:北海道,本州,四国
●花期:5~6月
春の終わり,新緑の頃に咲くサクラソウ類.他のサクラソウよりもずっと大きく,一見して別種であることは明らかだ.山地〜亜高山の明るい草原にも薄暗い林内にも見られるが,生育にはかなり湿った環境が必要なようだ.
5月末頃,まだ若々しい森の青葉とクリンソウの花の対比は美しい.晩春の晴れた日に川のせせらぎが聞こえる中クリンソウの群落を見ていると,とても心が落ち着きこのままお昼寝したいような気分にもなる.サクラソウの仲間では全国的に最も普通種だが,それでもどこでも見られる訳ではない.
岩手県では,北上高地のやや高所の樹林帯や高原で普通に見られる.本種は不味い成分を持っており,鹿の食害は受けにくい種類とはいうが出会う機会はそこまで多くない.近くの鹿が多い高原に山菜採りに行った時はたった一株しか出会えなかった.近頃は結構鹿に食べられているのではないだろうか.
写真のものは,岩手県宮古市早池峰山周辺で見つけた.かつて駐車場とかになっていたのだろうか,県道沿いの少し森が開けて草地になっている平坦地に数十株が群生していた.この周辺には鹿がかなり多いはず,この群落もいつまで健在か少し不安になる.
▲写真1:2019年6月,岩手県宮古市