エンビセンノウ
Lychnis wilfordii

●分布:北海道,東北,中部地方
●花期:8月

日本では真っ赤な花を咲かせる野草はそもそも数少ないのですが,その中でも最も赤い花をつけるのが本種でないかと思います.実物の赤さは写真で表現しきれず,一瞬作り物のようにも感じます.エンビとは漢字で燕尾,確かに花弁がツバメの尾のように見えます.
絶滅危惧IB類の希少な植物で,北海道・東北地方・中部地方の湿原に局所的に生育しています.東北地方では青森県の一般人が入れない湿地に分布があることが知られています.中部地方では八ヶ岳・南アルプス山麓の草原に分布しているようですが,湿原というのは平坦地のため開発されてしまいやすく,生息に適した環境は多く残されていない現状です.
長野県に本種が生育している湿原があるという情報をもとに,駅でレンタサイクルをしてそこへ向かいました.春はザゼンソウが有名な湿原のようですが,実は夏にも様々な花が咲いています.無人の湿原内木道を少し探索すると,異様な赤を放つ本種の花が目に入りました.

▲写真1:2016年8月,長野県


ナデシコ目 (Caryophyllales)
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