●分布:本州,四国
●花期:5~9月
山地の明るい樹林帯に生育するメタカラコウ属の多年草。中部地方では標高1,000m以上の山地帯上部から亜高山帯にかけて生育する植物だが、東北地方では仙台市の青葉山や花巻市の胡四王山など標高100mほどの低山や海岸線近くの林内でも見られる。逆に、東北地方では亜高山帯でほぼ見かけない。
三陸では、種差海岸や浄土ヶ浜の海岸部にも生育する他、山地にかけて標高800 m程度まで普通に見られる。鹿が好まない植物のため、南アルプスやその周辺ではマルバダケブキだけが食い残されて不気味に繁茂する群落が成立していることもある。鹿が激増している三陸でもいずれこのような景色が見られるかもしれない。
東北のマルバダケブキは、中部地方のものと別物ではないかと思う。中部地方のものと比較して、東北のものは全体的に小型で、花に赤みが少ない。花期も中部地方では7~8月であるのにに対して、東北では6~7月頃であるといった違いがある。
▲写真1:2019年6月、岩手県花巻市