●分布:京都以北~北海道
●花期:6~8月
北日本に広く分布するススキノキ科の多年草。本州ではニッコウキスゲ、北海道ではエゾカンゾウと呼ばれることが多い。高山植物のイメージが強いが、東北以北では海岸の植物でもある。海沿いでは6月頃、高山帯では7~8月頃に開花する。佐渡や飛島には変種のトビシマカンゾウが見られる。
東北地方では、海岸草原や奥羽山地の湿原によく見られた。意外にも、北上山地の高原地帯ではあまり見たことがない。写真1のものは、珍しく北上山地の森林を抜ける峠道に生えていた。林内に見られることは少ないが、蛇紋岩地だったからだろか、点々と生育していた。
本種のように海岸と高山に多く産する植物は、他にトウゲブキやマイヅルソウ、エゾフウロ(変種で分かれてはいるが)などがある。高山と海岸というと一見、両極端な環境に見えるが、夏に涼しく、風衝が強く草原帯が成立しやすいことから植物にとっては似た環境のようだ。
▲写真1:2020年6月14日、岩手県奥州市