●分布:北海道南部~九州
●花期:4~5月
森林内に生えるアツモリソウ属のランの仲間。2枚の幅の広い葉が対生し、傘のように広がる。2枚の葉の間から、袋のような独特な形をした花をつける。茎には毛が密生している。珍奇な見た目からよく採集され、数が減った。自然状態では稀にしか出会うことができない。
植物を探し始めてから10年、葉や蕾を見たことはあって4か所ぐらい産地を知っていたが、花を見たことがなかった。各地に管理されている大群生地はあるのだが、群落規模が大きすぎて情緒に欠けるのでそのような場所には行かないことにしていた。2023年春、九州南部で別の植物を探している際にやっと花を見ることができた。川沿いの林内を歩くといきなり足元に現れて驚いた。道路のすぐ近くだが、道路からは見えない場所にあったのでまだ残っていたのだろう。群生地の様子をよく写真で見るが、ここで生えていたのは3株だけだった。
▲写真1:2023年4月9日、宮崎県
▲写真1:2023年4月9日、宮崎県