●分布:北海道~九州
●花期:5~6月
山地の樹林下に生える多年草。近縁種のシャガは史前帰化植物とされているが、本種は正統な在来種である。アヤメの仲間としては乾いた環境を好み、岩場や明るい疎林、アカマツ林に見られる。湿った日陰に生えるシャガとは、生息環境が少し異なる。
北海道南西部から九州北部まで広い分布域を持つ植物であるが、生育地は少ない。数が多いのは南東北で、秋田県や宮城県仙台市周辺、福島県会津地方には比較的多く分布している。特に仙台市では都市部からごく近い青葉山の森で出会えるのでありがたい。
写真4のものは、仙台市郊外の林にて10月半ばにアカマツやモミ,ツツジ類を交えた山道を歩いているときに狂い咲きしている株に出会ったものである。通常は初夏に咲く植物で,来年見に行こうと思っていたが先取りできてラッキーである。
東北地方を離れて長らく出会う機会がなかったが(九州では現在も自然状態で分布している報告を知らない)、出張で岩手県を訪れたとき、2時間ぐらいだけ時間の余裕がありそうでどこへ行こうかと思い、満足な写真が撮れていなかった本種を少し見に行こうととある温泉街裏の森を訪れて撮影できた(写真1~3)。
▲写真1:2024年5月22日、岩手県紫波町
▲写真1:2024年5月22日、岩手県紫波町
▲写真3:2024年5月22日、岩手県紫波町
▲写真4:2019年10月、宮城県仙台市