●分布:北海道南部~九州
●花期:7~8月
ブナやトチノキなどの大木の樹上に着生するラン.沢沿いや雲霧のよくかかる極相林でごく稀に見らる希少な植物.富嶽というカッコいい名前は,富士山で最初見つかったことに由来する.
秋田県の奥地,平坦な沢沿いに原生的な極相林が広がっていた.奥羽山地ではブナ林ならいくらでも見つかるが,空中湿度が高く大木が林立する着生植物の豊かなブナ林を見つけるのは難しい.最初に見つかった富士山には平坦な地形に成立する極相林が多かったのかもしれない.
2018年の梅雨期,ブナ極相林内を歩きながら苔むした大木の上を注意深く観察していると,本種を見つけることができた.この時は残念ながら花が終わっており,翌年にリベンジをすることにした.
翌年6月末に再度訪れると,今度はまだ花が咲いていなかった.さらに2週間後の7月中旬にも再訪し,三度目の正直で写真の花を見ることができた.しかも,なんとこの時は最初見つけていた付近で胸くらいの高さにある株まで見つけられたのです(写真2)。樹上に生える植物なので、かなり低い位置にあっても普通は見上げて撮ることになるが、至近距離で観察できる株はとても貴重だ。いつまでもここで咲いてほしい。
▲写真1:2019年7月、秋田県
▲写真2:2019年7月、秋田県
▲写真3:2019年7月、秋田県