●分布:中部地方以北~北海道
●花期:7~9月
高山の日当たりのよい草地や砂礫地で見られるセリ科植物.砂礫地と雪田の両方に見られる植物.東北の高山,中部地方の高山ともに個体数は多く,高山植物の中では最も普通種の一つ.
総苞辺,小総苞辺ともに線形で目立つ.亜高山~高山の草地で見られる中型セリで識別が難しいのは,シラネニンジン・エゾボウフウ・ハクサンボウフウ・イブキゼリモドキ・セリモドキ・イブキボウフウ・カワラボウフウ・ミヤマセンキュウだが,この中でエゾボウフウ・ハクサンボウフウでは総苞辺,小総苞辺が見られないかごく少数.イブキゼリモドキとセリモドキでは茎の基部が膨らまない.イブキボウフウは複数の茎が分枝して比較的大きくなり,カワラボウフウでは総苞辺が0~1個.ミヤマセンキュウの小総苞辺ははみ出して見えるほど長いことで見分けられる.
亜高山の中型セリの識別は中々大変だが,茎および花の基部に識別に重要な特徴が集中している.初心者は花だけを写してしまうことが多く,帰ってから全く種類がわからず途方に暮れてしまうことが多い.自身も何度かそのような経験をしている.花や葉とともに総苞辺,小総苞辺の数を1枚の写真に盛り込むには,写真のように花が終わった後の花序があると都合がよい.
この写真ではさすがに小総苞辺までは小さくて見えないので,別写真をアップする必要がありそうです.写真のものは早池峰山で撮影した.この山では岩場だけでなく,山頂部にわずかにある雪田風の植生にもよく見られた.
▲写真1:2019年7月、岩手県早池峰山