ミヤマウイキョウ
Tilingia tachiroei

●分布:北海道,本州中部以北,四国
●花期:7~8月

高山に生えるセリの仲間.松葉のように細い糸状の葉,小さい草丈の独特な姿で他のセリと見間違えることはない.他の植物が生えないような稜線上の砂礫地に多く見られる.ウイキョウとはフェンネルとも呼ばれるハーブのことで,属は異なるが本種と同じように糸状の葉をもっている.本種に限らず,セリの仲間はセンキュウやボウフウなどと不思議な名前のつくものが多いが,いずれも漢方薬での呼び名で,中国由来のものだ.
写真のものは,7月中旬の早池峰山で撮影した.岩場を登っていく道中に点々と生えていた.早池峰山では写真のようにハイマツの周りや他の植物と共に草地によく生えていて,典型的な生育環境とは異なっている個体も多い.北アルプスなどではクモマスミレやコマクサのように砂礫地にポツンと生えている姿をよく見るので違和感がある.北海道や中部山岳では多くの山で見られるが,東北地方では早池峰山でしか見られない.

▲写真1:2019年7月,岩手県早池峰山


セリ目 (Apiales)
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