ハクサンボウフウ
Peucedanum multivittatum

●分布:本州中部以北~北海道
●花期:7~9月

亜高山~高山の草原に生える中型のセリ科植物.花だけでは他のセリと見分けられないが,茎の分かれ目が膨らみ,葉は三つ葉のように広くなるので高山のセリ類の中では比較的わかりやすい部類.ただし,キレハノハクサンボウフウという葉が深く切れ込む変種がいるので注意である.総苞辺,小総苞辺が見られないというのも大きな特徴.シラネニンジンとともに亜高山以上で見かけるセリ科植物のトップ2だ.しばしば混生するが本種には総苞辺・小総苞辺がないので,両種の見分けはさほど難しくない.
本種の生育環境は岩場,砂礫地,草地,林縁と幅広い.しかし,シラネニンジンと異なり明るい砂礫地や雪田草原にはあまり見られない.逆にシラネニンジンは林縁や背丈の高い草地ではあまり見られない.
写真のものは,岩手県の早池峰山で撮影した.早池峰山の小田越ルートでは山頂部の稜線に乗ると,山頂付近の岩場まで局所的に”個性のない普通の高山帯らしい”環境が広がっており,ハイマツ・オオシラビソなどの群落に囲まれて小さな雪田草原などがある.ハクサンボウフウはそのような山頂部のハイマツ林縁で見られたが,ここまで登ってくる岩場ではほとんど見られなかった.

▲写真1:2019年7月、岩手県早池峰山


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