●分布:本州~南西諸島
●花期:8~10月
水深が浅い池や流れの緩やかな水路に生育する沈水植物です.真夏から秋にかけて,水面に薄ピンク色の可憐な花を咲かせます.かつては水田やため池にはびこる雑草だったようですが,農薬などの影響で数を減らし,現在は絶滅危惧二類に指定されています.
多くの水生植物と違って,本種の葉は水底についていて,大きくヒラヒラとしています.このため,水深が浅く他の水生植物が疎らな環境でしか生育することができません.また意外にも富栄養を好む植物で,浅く緩やかな条件を満たしていても,湧水地ではほとんど見られません.富栄養でなおかつ浅い場所といったらまさしく水田なのですが,農薬に弱いようで著しく減少してしまいました.
この大きな葉,実はシャキシャキしていてとても美味しい葉なのです.かつては食用として利用されていたようですが,今や利用できるほど生えている植物ではありません.
写真のものは青森県津軽地方のとある水田跡で撮影しました.ここは保全されている方がいるようで,他にもミズアオイ・コウホネなどの植物が多く繁茂していました.津軽地方は大量のため池・野池が存在しており,水生植物の楽園といってもよい環境が広がっています.しかしこのミズオオバコは,津軽地方でもやや珍しい植物で,どの池に行っても出会えるものではありません.
▲写真1:2018年9月、青森県西部
▲写真2:2019年9月、青森県つがる市