エゾキイロキリガ
Tiliacea japonago
●撮影:2019年9月,岩手県新山高原
●分布:北海道,本州,四国
●成虫の出現時期:10月
●ホスト:シナノキ
深秋の蛾は紅葉のように色鮮やかで美しい種が多い.その中でも一際目立つ色彩をしているのが,このエゾキイロキリガ.その鮮やかさは,果てのない東北地方の紅葉を思わせる.
東北地方では秋の始め9月頃,紅葉の季節よりもかなり前に出現する.この写真を撮影した新山高原でも,紅葉が見ごろを迎えるのは10月中旬頃だが,その頃には本種は姿を消してしまう.
シナノキが多い高所でライトトラップをすると,多数飛来する.特に北上高地の高原ではシナノキがしばしば切り残されており,本種に出会うことは難しいことではない.
これまで確認した場所は,八甲田山麓の高原(標高520m),大槌町新山高原(標高900m),大槌町土坂峠(標高750m)と,大体ブナ林からダケカンバ林に移行する程度の標高帯に位置していた.
シナノキ食の中でも出会いにくい種は,大体これくらいの標高帯に出現するイメージがある.岩手に移って1年目の秋には本種に出会えなかったが,2019年の初秋には多数観察することができた.高所限定でほぼ9月にだけ出現するので,タイミングを逃していたらしい.