キトガリキリガ
Telorta edentata
●撮影:2019年10月,岩手県大槌町
●分布:北海道~九州
●成虫の出現時期:9~11月
●ホスト:ナシ,クヌギ,アベマキ
9月上旬頃,本種が出現したら夏は終わり,秋の蛾シーズンの始まり.本種は体色に変異が大きく,ブナやミズナラの紅葉のような明るいオレンジ色をした個体以外に,黒い帯が目立つ個体もいる.
広葉落葉樹林であればほぼどこでも発生している.生息環境から,バラ科,ブナ科樹木を幅広く食べると思われる.それ以外にも様々な樹木を食べるかもしれない.岩手県では極めて普通種.秋キリガでは最も個体数が多く,蛾がほとんど飛来しない寂しい日でも本種だけは飛来してくれていることが多い.個体数は極めて多いので,ライトトラップでも,外灯回りでも,糖蜜トラップでも,ルッキングでも採取できる.
高原では9月初め頃から出現し,11月頃まで見られる.またそれぞれの場所で,紅葉が色づく前の初秋から葉も落ち切った晩秋まで長期間見られる.さらに三陸は内陸部よりも冬の訪れがゆっくりなため,本種との付き合いはかなり長くなる.関西では普通種ではあったが,あまり多くの個体を確認していない.やや山地性なのだろうか.