トチノキ
Aesculus turbinata
●撮影:2019年6月,秋田県
●分布:北海道南西部~九州の山地
●花期:5~6月
山地の広葉樹林帯を歩いていると,子供の顔よりも大きな葉を車輪状につけている樹木に出会う.このような樹木は2種類あるが,葉にしわが目立ち先がとがっていれば本種,トチノキだ.谷沿いの湿っていて肥沃な環境に多い.特にブナ帯の平坦な沢沿いでは,時として幹回り5~10m近くに至る巨木に出会うこともある.大きく育った大木の樹皮はケヤキにも似た大きな割れ目を形成し,葉を見なければうっかり間違える.紅葉は黄色く,大きな栗のような果実をつける.
岩手県では,沿岸部から内陸部まで普通に見られる.水や養分のたまる窪地にもよく生えるので,雪の吹き溜まりや除雪置き場に生えている株が,6月下旬頃にやっと新芽を出している様子を見かけることもある.
早春にトチノキが林立するような沢沿いに行くと、本種をホストとする蝶のスギタニルリシジミに出会うことができる。北限はブナと同じく北海道南西部らしい。山地のイメージがあるトチノキだが、意外にも北海道のほとんどの場所にはトチノキは分布していないことになる。