ヒツジグサ

ヒツジグサ
Euryale ferox

●撮影:2019年7月,岩手県西和賀町

●スイレン目 Nymphaeales スイレン科 Nymphaeaceae
●分布:北海道~九州の貧栄養な池沼*1
●花期:6~9月*1

全国の貧栄養な池や沼に生える抽水植物.深山の湿原中の池などでよく見かける植物だが,関東以南の低地では中々お目にかかれない.ため池を多く残した山間部の集落の中でも,沢や湧水からの水が直接流れ込むような貧栄養な池では繁茂していることがある.

花の大きさは直径5 cmほどで手にすっぽりと収まるほどのサイズで,園芸スイレンを見慣れているとかなり小さく感じる.午後2時の未時に咲くので,ヒツジグサという.オニバスとは逆パターンで,午後に花が見られる植物だ.実際には午前中でも咲いていることは多いが,天気が悪いと開いていないこともある.

アメリカザリガニやコイなどによる食害に弱く,これらが放流された池では瞬く間に壊滅する.

写真のものは奥羽山地の山中にある沼で見かけた.深いブナ林に囲まれたこの沼の周辺には,ミズゴケの湿地が発達し,トキソウやサワラン,ツルコケモモなどが群生していた.水面には疎らにヒツジグサがある以外に浮島もできていた.この沼,相当良い環境だと思われる.

一つ残念であったのは,少量ではあったが赤いフナが放されていたこと.フナやコイは水生植物の大敵であり,小さな池では水生植物に壊滅的な被害を与えてしまうことはもっと認知されてほしい.

[参考]
*1 山に咲く花, 2013, 山と渓谷社


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